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税法を勉強している藤間大順のBlogです。業績として発表したものについて書いたり,気になったニュースについて書いたり。概ね1回/月の更新を目標としています。

『高校生のための税金入門』をご恵贈いただきました。&岡山大小塚ゼミゲスト

 先日,岡山大学の小塚真啓先生より,先生が編著として携わった『高校生のための税金入門』(三省堂,2020年)を賜りました。

https://www.sanseido-publ.co.jp/publ/gen/gen6edu/hschzeikprm/www.sanseido-publ.co.jp

 小塚先生は,研究方面でいつもお世話になっている先生です。このブログでも何度か書いた関西租税法若手研究会(現在は東アジア租税法研究会に改称)を主宰されています。この書籍は,当該研究会のメンバーの先生方が共著で執筆した,高校生向けの税法の教科書になります。総論から国際課税まで,税法の様々な論点を,高校生にもわかりやすく解説しています。専門的な内容はコラムとして本文とは別建てになっていて,読みやすさにも配慮がされています。
 中等教育向けの税法の教科書については,私の恩師である三木義一先生が監修した『13歳からの税』(かもがわ出版,2020年)も出版されています。租税教育の試みが行われているなかで,税法を含む租税に関する研究をしている研究者が,しっかりとした知識をもとに中等教育向けの教科書を執筆することが求められている,と言ってよいかと思います。

www.kamogawa.co.jp


 そして,今日は,岡山大の小塚先生のゼミにゲストとして招いていただき,学生の方のご報告に対してコメントをしました。
 小塚先生のゼミでは,現在,上記書籍を参考にしつつ,高校生向けの税法の講義の準備をしています。講義の内容について,上記書籍との比較からどう改善できるかコメントをしたほか,講義の後で行われたディベートの審査もしました。
 とても真面目な学生さんたちで,講義の内容も,とても充実したものでした。有益なコメントができたのかあまり自信はないのですが,少しでも参考になる点があったなら嬉しく思います。

第8回若手法学研究者フォーラムの集い

 昨日,若手法学研究者フォーラムの第8回集いが実施されました。
 昨年行われた前回の集いについては,下記の記事を参照。

taxfujima.hatenablog.com

 例年の集いは東京にて対面で行われてきたのですが,新型コロナウイルス感染症対策のために,今回はオンラインにて行われました。
 オンラインでの開催ということで,フォーラム主催者で現在はドイツに留学中の横田明美先生や,ドイツからもう一方,また日本国内でも関西方面からの方々など,様々な人にご参加いただくことができました。横田先生のブログの下記の記事のとおり,普段はオンラインにて若手の法学研究者が交流している集まりなので,オンラインでの集いの開催に親和性があったように思います。議論が大変盛り上がり,とても楽しい機会になりました。

kaffeepause-mit-ihnen.hatenablog.jp

 今回の集いでは,3人の方が報告をしてくださいました。いずれのご報告についても,公表される前の内容なので詳細は避けます。
 まず,早稲田大学博士後期課程の吉田朗さんが,ご自身の現在の研究の一部を論文化した内容についてご報告されました。吉田さんは,私と一緒に当フォーラムの運営面で横田先生をお助けしている方であり,保険法と行政法や環境法が重なる独自の分野を研究されています。今回の内容についても,大変ダイナミックかつ重要な議論をされていました。
 次に,一橋大学博士後期課程であり日本租税研究協会主任研究員の堀治彦さんが,今後の研究テーマの構想についてご報告されました。堀さんは,私と同じ税法学分野の研究者であり,主に国際課税関係の研究をされています。個人的にも色々とお世話になっている方です。博士論文の執筆でご多忙ななか,次のテーマに目を向けられていて,その内容がとても意欲的で面白かったこともあり,色々と示唆をいただきました。私も質問をしました。
 最後に,西村あさひ法律事務所の玄唯真先生が,もうすぐ発表される論稿についてご報告されました。玄先生は,弁護士として実務に携わるとともに,みずほ学術振興財団第60回懸賞論文にて受賞されるなど,研究活動も積極的にされている方です。今回の論稿も,比較法的見地を交えた充実したものであり,とても勉強になりました。
 3人の方のご報告の後,「オンライン研究会で思ったこと」として,横田先生の仕切りでプチ研究ハックフォーラムが行われました。その後,懇親会に移りましたが*1,法学研究とは何ぞや,とか,研究者の使命とは,といったような,とても興味深い(でも飲み会でしかできないような)会話がオンラインでもできて,大変楽しいものになりました。

 今回の集いで,私は司会をつとめました。
 研究会の司会は初めての機会でしたし,オンラインでの研究会の経験もそこまでありませんし,少し緊張していました。学会や研究会で良くあるらしい時間の大幅な超過があったらどうしよう,ということも不安に思っていました。ただ,横田先生のご指導や吉田さんのご助力に加え,報告者や質問者の方々が時間をキッチリ守ってくださったことで,全体として時間通りに進行することができました。ありがとうございました。
 運営側として今後に活かしたい反省点もありましたが,上述のとおり海外から参加できることなどのオンラインだからこその良さも見つかって,概ね良い機会になったのかな,と思っております。

 元々,色々な法分野の若手が集まるとても楽しい集まりでしたが,オンラインでの集いの開催という新たな試みも成功裡に終わり,若手法学研究者フォーラムはより楽しいものになっていくのだろうと思います。上記の横田先生のブログ記事を読んで,参加要件に合致する方がいらっしゃれば*2,ぜひ参加をご検討いただけますと幸いです。

*1:当然ですがオンラインです。一応念のため。

*2:なお,横田先生の記事を読めばわかりますが,参加者はアカデミア志望の方に限られません。

香川大青木ゼミゲストスピーカー

 本日,香川大学の青木丈先生のゼミにて,ゲストスピーカーの機会を(オンラインにて)いただきました。青木先生はじめ青木ゼミの皆さま,お話しする機会をいただき,誠にありがとうございました。
 青木先生には,私が大学院生だった頃に講義を聴講した(モグった)のをきっかけに,公私ともにお世話になっています。青木先生と私の父と私の3人でお酒を飲んだりしたこともあったりします。以前,香川を訪問し,色々なところに連れて行っていただいたこともありました(下記記事を参照)。その際はありがとうございました。

taxfujima.hatenablog.com

 今回は,青木ゼミが四大学ディベート大会に今年から参加することになったので,ディベートのやり方について話して欲しい,ということで,機会をいただきました(四大学ディベート大会については,下記の記事を参照)。

taxfujima.hatenablog.com

taxfujima.hatenablog.com

 ディベートは,何度かこのブログにも書いていますが,私が博士後期課程に進学するきっかけになったものであり,個人的にも好きな営みです。今回は,一般的な法律ディベートのことを『リーガル・リサーチ&リポート』に沿ってお話ししたのち,四大学ディベート大会の特徴や個人的に思うディベートのコツなどをお話ししました。
 オフレコなこともお話ししたので,あまり詳しくは書けませんが,個人的には楽しく話すことができました。これまで自分が何となく考えていたことを言語化できて,有益な機会でもありました。また,青木先生からお褒めの言葉もいただいて,それもとても嬉しかったです。
 今持っているゼミでは*1,今般の情勢のこともありディベートができるかはわからないのですが,いずれ自分のゼミでもディベートをやってみたいなぁ,と思ったりもしました。まずは,ディベートができるぐらいの人数にゼミに集まってもらえるよう,しっかりと充実した講義をしたいと思います。

*1:本務校ではゼミを持っていないのですが,青山学院大学で非常勤でゼミを担当しています。とても優秀で良いゼミ生が揃っているので,いつも楽しく授業をしています。仮に今日上手く話せたのだとしたら,ゼミで教える経験を積ませてもらっていることが大きいのだろうと思います。ありがとうございます。

『現代税法と納税者の権利』をご恵贈いただきました。

 師匠である三木義一先生および三木義一先生古稀記念論文集編集委員会の先生方(伊川正樹先生奥谷健先生望月爾先生安井栄二先生)より,先日発売された『現代税法と納税者の権利』(法律文化社)を賜りました。このような大変な時期にも関わらず贈っていただき,誠にありがとうございます。
 書籍の詳細は下記参照。
www.hou-bun.com

 当該書籍は,三木先生の古稀をお祝いすべく発行された論文集です。タイトルは,おそらく,三木先生の博士論文である『現代税法と人権』からとったものと思われます。
 「わが国の税法研究の第一線で活躍」(375頁)してきた三木先生の記念論文集に相応しい,錚々たる先生方が論文を寄稿されています。特に,論文の中には,三木先生のこれまでの活動(訴訟関与や民主党政権の政府税調での国税通則法改正への関与)と関連するテーマについて書かれているものがあり,三木先生の古稀を祝賀する先生方の思いが詰まっているように感じました。
 また,日頃からお世話になっている先生方も多く寄稿されていました。まだまだ未熟者ではありますが,私もいつかこのような機会が来たらしっかりと役目を果たせるようにならねばならないな,と背筋が伸びる思いがしました。なお,木山泰嗣先生が寄稿されている論文(「税法における実質主義と外観論の関係」)において,月刊税務事例に投稿した判例研究および税法学に投稿した判例研究を引用していただいていました。木山先生,ありがとうございます。
 自粛期間で大学の研究室に行けず,正直なところあまり研究が進んでいないのですが,この論文集を読んでしっかりと勉強したいと思います。

30,000アクセスを突破しました。&授業のこと。

 このブログが,30,000アクセスを突破しました。いつもご覧いただいている方も,たまたまこの記事をご覧いただいた方も,ありがとうございます。
 最近は時事ネタというかCOVID-19の騒動と税法の関わりを書いていて,そこそこアクセスが多い日が出てきています(今日も何だかとても多いです)。ありがとうございます。ただ,もうネタ切れなので,何かない限りはCOVID-19まわりのことはもう書かないと思います。
 学会や研究会も延期が続いているので,今後書くものがあるのか不安ではあるのですが,マイペースに続けていきたいと思います。1記事/月という目標も達成できないかもしれませんが(一応,コンスタントに書く材料はできる予定ではいます),温かく見守っていただけますと幸いです。

 少し日常的なことも書いておきたいと思います。
 今日,本務校である神奈川大学法学部で今年度初めての授業がありました。非常勤講師としての青山学院大学(および同大学大学院)での授業は既に始まっているので,これでいよいよ日常生活がスタートしたということになるかと思います。
 今のところ大きなトラブルは起きていないのですが,オンラインでの授業も色々と大変です。初年度だから大変なのか,環境が変わったから大変なのか,オンラインだから大変なのか,研究室にあまり行けないので手元に資料があまり無いなかで授業準備をしているから大変なのか,自分の中でもあまり腑分けはできていませんが,科目ごとの準備は去年よりもかなり大変に感じています(とはいえ,新入りですし未熟者なので,任せられている業務全体の量としては,他の先生に比べると全然大変ではないのですが)。
 そんな中で,何人か知り合いの先生方も書かれていたのですが,学生の皆さんの頑張りは目を見張るものがあります。オンライン授業の効果なのかわかりませんが,授業の出席率も例年に比べて高いそうです。私も,授業で提出された優れたレポートを読んで,頑張ろう,と勇気づけられています。
 まとまりがありませんが,こんなところで。