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税法を勉強している藤間大順のBlogです。業績として発表したものについて書いたり,気になったニュースについて書いたり。

ディベート大会

先週末(11/5(土),6(日)),四大学税法ゼミディベート大会(以下「四大戦」といいます)に参加してまいりました。参加といっても私自身がディベート自体に参加した訳ではなく,Teaching Assistant先のゼミ*1の学部生について行く形でした。

四大戦は,20年以上続いているイベントのようです。参加大学に変遷があり,現在は,関西大学名城大学立命館大学および弊学の税法ゼミが参加しています。主催は持ち回りで,今回は名城大学の伊川先生のゼミが主催してくださいました(とても快適に参加できました。伊川先生はじめ名城大学の皆さま,ありがとうございました!)。

下記の通り勝敗が決まるのですが,今回は立命館大学が優勝,弊学は2位でした。弊学のゼミ生達はとても良い議論をしていて,多少なりとも指導をお手伝いした者としてとても嬉しかったです。他大学の皆さんも,素晴らしい議論をしていました。

 

四大戦が恐らく発祥なのですが,弊学の学内のイベントとしても,同じ形式でのディベートが行われています。5月に大学院生同士(M1対M2)でのディベートがあったり,10月に税理士の先生方を招いて四大戦に向けた学部生との練習試合をしていただいたり,あとは税法ゼミ同士での対抗戦があったり(TA先のゼミと指導教官のゼミの対決になるので,どちらを応援するか非常に困ったりはするのですが)。私自身も,修士(博士前期課程在籍)時代にディベートで得たものがとても大きかったと感じています。

ディベートは,以下の形式で行われます。

  1. 立論(5分)×2

  2. 作戦タイム(2分)

  3. 質問(8分)×2

  4. 作戦タイム(1分)

  5. 最終弁論(1分)×2

を1セットとし,立場を入れ替えて2セット。

立論とは,事前に作成してきた自分たちの主張を読む時間です。質問とは,自分たちの立論や相手の立論を元に質問を行う時間です。最終弁論とは,立論および質問を経て再び自分たちの主張を行う時間です。

基本的に判例や裁判例を用いて原告側被告側に分かれてディベートは行われるのですが*2,立場を替えて2セット行うことで,有利不利が生じないようになっています。また,最終的に,審査員(基本的には3人)の評定により勝敗が決します。

 

上記の通り,私自身がその恩恵に与ってきたのですが,ディベートはとても高い教育効果を持っていると思います。

副次的に得られるものはたくさんあります。立論の作成を通して,法学の方法(法的三段論法)に基づいた説得的な文章の作成を学ぶことができます。また,そのディベートについての基本的かつ(原告被告いずれも担当する以上)偏りのない知識を身に着けることができます。同じチームの仲間と仲良くなれることも,重要な効果と言えましょう。しかし,やはり本質的には,議論をする力それ自体が育まれることが,ディベートの最大のメリットだと思います。

議論をする力を得ることには,大きなメリットがあります。議論とは,相手の主張を無視して自分の主張を押し通すことではありません。議論とは,どんな種類のものであれ,他者を理解することと自分を理解してもらうこと無くしては成り立ちません。議論とは,他者を理解する一つの営みである,とすら,言っても良いのではないかと思います*3

例えば,「哲学の父」ソクラテスは,自らが行う哲学的議論のことを「産婆術」といいました*4。相手が産もうとして苦しんでいる知識を,助産師さんのごとく取り上げてあげること,それが議論なのである,ということです。哲学以外の議論も,私は同様の側面があるように思います。議論を行う過程で,相手の考え方を理解し,同時に自分の考え方もクリアになっていく。その上で,是非を話し合う。議論とは,そのように,相互理解とそれによる深化を伴って為されなければならないと思います。

そんな,議論をすることの本質を得る力を,ディベートは培ってくれます。私自身がディベートを行う機会はもうあまり無さそうなのですが,ディベートに向けた指導のお手伝いなど,今後とも何らかの形で関わっていきたいな,と思っています。

*1:青山学院大学 木山ゼミ (@kiyamaseminar) | Twitter

*2:最近では,租税政策(立法政策)についてのディベートも行われています。

*3:この点,契約理論における,交渉による条項の追加を繰り返して契約全体のパイを増やすという発想には,非常に共感を覚えます(ハウェル・ジャクソンほか(神田秀樹=草野耕一訳)『数理法務概論』(有斐閣,2014年)103~104頁参照)。ちょっと違う話かもしれませんが。

*4:プラトン(田中美知太郎訳)『テアイテトス[改版]』(岩波文庫,2014年)38~42頁参照。