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What Do We Pay for Civilized Society?

税法を勉強している藤間大順のBlogです。業績として発表したものについて書いたり,気になったニュースについて書いたり。

租税行政法ワークショップ拡大研究会

一昨日、弊学法学研究科において、租税行政法ワークショップ拡大研究会が行われました。

租税行政法ワークショップは、弊学法学研究科において設けられているワークショップの一つです。税法と行政法の教員および大学院生が集まり、主に租税手続法について研究を行っています。

租税行政法ワークショップでは、例年、年度末前後に拡大研究会を行っております。今年度の拡大研究会は、「平成26年行政不服審査法国税通則法改正の動向と問題点」がテーマでした。平成26年6月の両法改正および平成28年4月1日からの両法施行により何が起こる(起こりうるまたは実際に起こっている)のか、立法に携わられた弊学法学研究科非常勤講師の青木丈先生、元国税不服審判所の審判官で現在は弁護士の石井亮先生、元弁護士で現在国税不服審判所の審判官の根本純真子先生より報告がありました。

 

全体として、制度の運用が始まったばかりであり、今後とも注視していく必要がある、ということは言えるように思いました。

例えば、今回の改正された点の一つとして、口頭意見陳述手続きにおいて審査請求人(納税者)から処分行政庁(課税庁)に対する直接の質問ができるようになったことが挙げられます(行政不服審査法31条5項、国税通則法95条の2第2項)。従来の口頭意見陳述は、審査庁(国税不服審判所)が審査請求人の意見を聴取する(いわば縦のやり取り)のみであり、争っている審査請求人が処分行政庁に質問すること(いわば横のやり取り)はありませんでした。

この改正は、抽象的には、審査請求手続を当事者主義的な方向に導くものと評価できるかと思います。ただ、実際には、審判官の心証への影響は薄いのではないか、審査請求人の心理的満足が得られるにすぎないのではないかという指摘がありました。また、実際に利用されているケースはまだあまり多くは無いようでした。

他にも、様々な点(写しの交付等)について、立法趣旨から実際の運用、および今後の可能性まで含めた非常に興味深い議論が行われました。

 

個人的には、審査請求手続の充実は租税行政手続にとって重要な意味を持つように思っています。というのも、米国の租税裁判所(Tax Court)は最初内国歳入庁の不服審査機関(Board of Tax Appeals)から出発しているからです。

もちろん、日本では特別裁判所を設けることは憲法上できませんから(憲法76条2項)、租税裁判所の設置を望むことは愚かなことかもしれません。しかし、税務訴訟(の特に実体法上の争い)については、一般の行政訴訟とは少し毛色が違うことが多いのもまた事実かと思います。従って、専らそれを取り扱う機関の審査手続が充実することは、納税者の権利救済においてとても大きな意味を持つのではないかと考えています。

 

さて、話は変わりますが、本日より約一週間、米国で在外研究を行って参ります。

私は、米国本土に行くのがそもそも初めてですし、研究の用事で日本を出るのも初めてです。とても緊張していますが、Trump新大統領誕生直後の米国がどんな雰囲気なのか、肌で感じつつ、精一杯研究して参りたいと思っています。