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税法を勉強している藤間大順のBlogです。業績として発表したものについて書いたり,気になったニュースについて書いたり。概ね1回/月の更新を目標としています。

『典型契約の税法務』が公刊されました。

 この度,日本加除出版より,中村芳昭=三木義一監修『典型契約の税法務』という書籍が刊行されました。
www.kajo.co.jp

 私は,池田清貴弁護士と共に,第4章の消費貸借契約の部分を担当いたしました。税法編および実務編を主に担当しました。

 当該書籍は,青山学院大学大学院法学研究科ビジネス法務専攻税法務プログラムの修了者である弁護士および税理士を主な著者として,一同の恩師である中村先生および三木先生を監修者として書かれた書籍です。
現在ビジネス法務専攻の主任をされている木山先生は,総論の部分を担当してくださっています。
 私はビジネス法務専攻のOBではありませんが,三木先生の弟子として,またビジネス法務専攻の方々と共に税法を研究した者として,お仲間に加えていただきました。分不相応なことでしたが,なんとか完成までついていけてほっとしています。
 また,当該書籍は,日本加除出版の編集者である前田敏克さまの並々ならぬサポート無くしては完成しなかったものでした。前田さま,ありがとうございました。

 当該書籍には,以上のように,青学法学研究科の税法専攻一同で書いた成果物という性格があります。しかし,内容としては,個々がバラバラに研究成果を発表するというものではありません。民法上の13の典型契約について概観した後,当該契約が結ばれた際に起こりうる課税問題について網羅的に叙述した書籍になっています。執筆の目標としても,弁護士と税理士が話し合う際に傍らに置いておきたい本,といったような本を目指して執筆しました。
もっとも,はしがきで述べられているとおり,叙述のスタイルについては各個人に大きな裁量が与えられました。これは,担当者の個性という理由以上に,契約類型毎にわかりやすい書き方が異なるためにこのような形が取られました。
 私の執筆部分については,池田弁護士と協議のうえ,契約の成立から履行を経て終了までという時系列を意識しながら,金銭消費貸借契約に関する課税関係を検討しました。私は,現在は債務免除益課税という特定の分野について研究していますが,修士課程のうちは金銭債権に係る課税問題について幅広く(債権者側債務者側問わず,契約成立段階や履行段階も含めて)研究していました。そのため,少し懐かしく感じながら執筆いたしました。

 ぜひ,ご購入を検討くださいますと幸いです。
 題名にもありますとおり,弁護士の方や税理士の方にはお勧めできる書籍です。
 また,少し違う観点ですが,税法について修士論文等を書こうとされている方にもお勧めできる本だと思います。税法(のうち特に実体法)の研究をするにあたり,その前提となる私法上の法律関係について知ることは不可欠です。その出発点として,自分が関心を持っている課税問題がどのような典型契約と関わる問題なのか知ることは,そこから先の私法上の法律関係について勉強する際の一助になりうると思います。

 長々と書いてしまいましたが,こんなところで。
 今年度は,博士後期課程3年目ということもあり,ブログの更新頻度はこれまで以上に低くなりそうです。ただ,生存報告程度には更新を続けて参りたいと思います。どうぞ暖かく見守ってくださいますと幸いです。