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税法を勉強している藤間大順のBlogです。業績として発表したものについて書いたり,気になったニュースについて書いたり。概ね1回/月の更新を目標としています。

Japan Scholar Meeting at the University of Virginia School of Law

 日本時間3月16日(土)~米国(東部)時間3月20日(火)にかけて,Virginia大学のロースクール(UVA Law)を訪問しました。同大学に留学中の,岡山大学の小塚先生が主催される研究会に参加するためです。小塚先生および奥さま,開催にあたり大変にご尽力くださり(日本からの旅程等についてもご案内くださいました。また,現地の案内もしてくださいました),誠にありがとうございました。
 3/16に出発し,3/17の夜に到着,3/18は事前打ち合わせをして,3/19に研究会をし,3/20に帰国,という日程でした。現在,帰国前の空港にてブログ記事を書いています。

 当該研究会は,"Japan Scholar Meeting"と称し,日本人の税法分野の若手研究者が,UVA LawのTax Lawの先生方の前で英語で研究内容を報告し,その内容について議論するものでした。
 まず,最初に,京都大学の住永先生が,"Transfer of Income among Family Members Using Life Insuranec Trust"と題する報告をされました。住永先生のご専門である「実現」概念が複雑な信託課税の領域にどのように関わるのか,主に米国の判例を素材として報告をされていました。
 次に,学習院大学の長戸先生が,"Tax Losses and Excessive Risk Taking under Limited Liability: In Case of TEPCO Bailout after the Fukushima Nuclear Disaster"と題する報告をされました(なお,長戸先生は,現在,Harvard大学のロースクールに留学されています)。『租税法と民法』でされていた,TEPCOの再建と課税に関する議論を更に発展させた報告をされていました。長戸先生には,専門が近いこともあり,色々と折に触れてご指導を賜っています。今回のご報告も,大変勉強になりました。
 3番目に,私が報告しました。"Tax Benefit Rule and COD Taxation"と題し,15分間の報告をしました。博士後期課程の研究の根本的な関心について,米国法を素材に報告しました。
 最後に,小塚先生が,"The Basic Functions of Basis: Theory and Doctorine in Income Tax Systems"と題し,近年のご関心であるBasis概念について,具体例を素材に報告をされていました。下記記事で書いたように,先日の関西租税法若手研究会のご報告から繋がっている議論でした。
taxfujima.hatenablog.com

 研究会には,報告者のほか,信州大学の橋本先生も参加してくださいました。ありがとうございました。

 今回の研究会は,参加して良かったことが色々とありました。
 まず,英語での報告をすることができたことが大きな収穫でした。錚々たる先生方と一緒の機会で,明らかに場違いな拙い報告だったと思うのですが(反省点もたくさんありました),一つの経験を積むことができたのは大きな収穫でした。
 また,自分の研究内容について,米国の一流の先生方と議論をすることができたのも,大きな収穫でした。私は,専ら米国法との比較法と言う手法を用いて,日本の税法を分析しています。米国の税法に関する自分の知見について議論ができ,とても有益な機会でした。自分の博士後期課程の研究がどのような意義を持つのか,という点について,考えることができました。
 そして,留学中の小塚先生を訪ね,留学とは実際にどのような営みなのか,ということを知ることができたことも,大きな収穫でした。大学内を案内していただいて,小塚先生がとても充実した研究生活を送っていることを実感しましたし,大学の外についても,Virginia大学があるCharlottesvilleはとても良い街でした。留学には絶対に行きたいな,という思いを強くしました。
 参加して本当に良かったです。小塚先生および奥さま,ご面倒も色々とおかけしましたが,開催にあたりご尽力くださり,重ね重ね,誠にありがとうございました。今後とも何とぞご指導ご鞭撻のほどを宜しくお願いいたします。

 今回もらった刺激を活かして,日本に戻ってからも研究に邁進したいと思います。
 今月はあと1記事書くと思います。お楽しみに!