タイトル通り,日米法学会が発行している雑誌であるアメリカ法の2019-2号に,論文紹介を掲載していただきました(254頁)。
「公平性と中立性の対立を越えて」というタイトルで,Ari Glogower, Taxing Inequality, 93 N.Y.U. L. Rev. 1421 (2018)を紹介したものです*1。当該論文は,所得や富の再分配機能を強化するための課税ベースの改革案を論じたものですが,単純な富への課税(富裕税)を主張するのではなく,所得と富を合算した新たな課税ベースを創出すべきだと主張する,非常に興味深い論稿です。
論文のなかでは様々な実例を用いながら議論が展開されていますが,紙幅の関係上,実例は省きながら紹介しました。私の紹介を読んでご興味を持たれたら,ぜひ原文もお手に取っていただけますと嬉しく思います。米国における課税ベースの選択の議論に私はあまり明るいわけではありませんが,それでも興味深く読むことができる,独自の主張をわかりやすく展開している論文でした。その魅力を少しでも伝えられていたなら,大変嬉しく思います。
*1:全文は,下記のSSRNのリンクから読むことができます。 papers.ssrn.com