東北学院大学の加藤友佳先生より,先月出版された『多様化する家族と租税法』をご恵贈いただきました。
近時,同性婚を認めない法制の合憲性についての判決が出たり*1,同性カップルの事実婚状態に法的保護を与える判決が出たり*2,同性婚の法制化に関する議論が行われたりするなど,家族のあり方が多様化しつつある(あるいは既にしている)ことは,社会全体に浸透している事実だと思います。税制も,その変化にどう対応すべきか,ということが大きな問題となっています。日本の所得税は原則として個人単位主義を採用していますが,それでも,所得税法56条や配偶者控除制度など,親族であることによって取扱いが変わりうるからです。
加藤先生は,おそらく誰もが認めるであろう,家族のあり方の変化と税制に関する研究のフロントランナーの1人です。『現代租税法講座第1巻 家族・社会』(日本評論社,2017年)の論稿や,2019年の租税法学会でのご報告など,既に多くの研究を積み重ねられています。租税法学会でのご報告については,下記記事を参照。
今回の書籍では,それらの先行業績をもとに,加藤先生の研究全体をまとめた重厚な議論がされていました。まだ読み切れてはいないのですが,中身についても,図表が多く使われ,非常に読みやすいもののように思いました。
個人的にも,課税単位の議論は自身の研究分野との関連で強い関心があります。また,研究者としてなのか一個人としてなのか自分の中でも判別はついていないのですが,家族のあり方と税制についても,強い興味を抱いています。『よくわかる税法入門[第15版]』でも,特に第8章は,家族のあり方の多様化というところに関心を持ちながら改訂を行いました。いただいた書籍を読んで勉強して,自分の中の考え方を深めていきたいと思います。ありがとうございました。