What Do We Pay for Civilized Society?

税法を勉強している藤間大順のBlogです。業績として発表したものについて書いたり,気になったニュースについて書いたり。概ね1回/月の更新を目標としています。

ディベート審査員

 本日,母校である青山学院大学大学院法学研究科で行われたディベート大会に審査員として参加しました。
 昨年審査員をした際の記事として,下記参照。

taxfujima.hatenablog.com

 私は,法学研究科の修士1年の大学院生のチームと青山学院大学法学部の木山泰嗣先生のゼミのチームの間で行われた第3試合の審査員をしました。
 ディベートの素材は,金地金のスワップ取引に対して譲渡所得課税がされるか,という点が争われた事案でした*1。この事案については,下記のとおり以前も審査員をしたことがあり,今回が3回目でした。

taxfujima.hatenablog.com

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 以前も書いたとおり,事案も判決文もシンプルなのですが,その背後にある問題が本質的な,興味深い事案です。所得税法33条1項にいう「資産の譲渡……による所得」が,単なる所得分類を画する文言に過ぎないのか,または課税の契機を画するものでもありうるのか*2,ということが問題となります。
 今回も,事案の奥深さを十分に理解したうえで充実したディベートがされていました。感想として,お互いのチームの主張内容がかなり類似していてもう少し(特に院生側の)主張にオリジナリティが欲しかったな,と述べましたが,これは審査員を何度もしているから感じることで,あまり言うべきことではなかったかもしれません*3
 現在,神奈川大学でのゼミ生の募集期間中なのですが,いつか自分のゼミでもディベートをやってみたいな,という思いを新たにしました。

*1:名古屋地判平成29年6月29日税資267号順号13028名古屋高判平成29年12月14日税資267号順号13099

*2:「課税の契機」という言葉は,住永佳奈『課税の契機としての財産移転』(成文堂,2019年)から借りました。

*3:ただ,この点がもしかしたらディベートで「攻めきれない」場面が目立った理由なのかもしれないなぁ,とも感じました(後付けですが)。