What Do We Pay for Civilized Society?

税法を勉強している藤間大順のBlogです。業績として発表したものについて書いたり,気になったニュースについて書いたり。概ね1回/月の更新を目標としています。

租税法学者研究フォーラム

 昨日,東北学院大学土樋キャンパスにて,租税法学者研究フォーラムが開かれました。
 今回のフォーラムは,東北学院大学の堀治彦先生および高浜智輝先生が主催で,租税法を専門とする中堅若手の研究者を集めて行われた研究会です*1。堀先生および高浜先生,大変ご多用のところ主催してくださり,誠にありがとうございました。
 また,フォーラム全体を通じて,堀先生の師匠である一橋大学の吉村政穂先生がコメンテーターをしてくださいました*2。吉村先生,大変ご多用のところ,ご臨席およびコメントを賜り,誠にありがとうございました。

 今回のフォーラムでは,計6件の研究報告が行われました。いずれも公表済の論文などについてのものではなかったので詳細は控えますが,大阪経済大学の漆さき先生,同志社大学の倉見智亮先生,岡山大学の小塚真啓先生,私(藤間),熊本学園大学の宮崎裕士先生および東京大学大学院法学政治学研究科総合法政専攻博士課程の亀川達哉さんがご報告されました。
 私の研究報告は「税務行政3.0との付き合い方:今後の研究の展望を中心として」というものでした。下記の論稿で今後の検討課題として挙げた論点について,どのようにこれから研究していきたいのか概要を話すような形の報告でした。来年度の特に前半は,このような流れの研究をメインにやっていく予定でいます。

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 今回のフォーラムでは,亀川さんをはじめとする若手の方々も多く参加され,とても充実した議論が展開されました。私の拙い報告についても色々と質問やコメントをいただきました。コメンテーターをしてくださった吉村先生をはじめ,質問やコメントをいただいた皆さま,誠にありがとうございました。今後の研究に活かしたいと思います。
 また,フォーラムの前後をふくめ,比較的年齢の近い研究者同士で色々な話をできたのもとても貴重な機会でした。フォーラム自体も,お菓子を食べながら気軽に参加する感じで,話しやすい雰囲気だったように思います。年代が近い税法の先生方とゆっくり対面でお話しする機会はコロナ禍以降あまりなかったような気がするので,「人付き合いってどうやるんだっけ」という不慣れな感じも少し出してしまった気がするのですが,総じてとても楽しい機会でした。
 重ね重ね,堀先生および高浜先生,今回のフォーラムを主催してくださり,誠にありがとうございました。

*1:参加者は,東アジア租税法研究会とかなり重なっています。今回の記事でも,東アジア租税法研究会のタグをつけてあります。

*2:なお,吉村先生,堀先生および私で,こちらの科学研究費を共同で受領しています。

税務大学校の税務研究会で報告しました。

 先ほどまで,税務大学校主催の税務研究会で機会をいただいて報告していました。研究会はオンライン(Microsoft Teams)で開催されました。
 私の報告テーマは,「消費者が享受した債務免除益にどこまで課税すべきか?:Raghavan(2023)を中心的な検討対象として」というものです。昨年公刊された下記の論文を素材として,日本法に対して得られる示唆を報告しました。

ir.lawnet.fordham.edu

 当該論文は,消費者法学の研究者が消費者に対する債務免除益課税を主題として取り上げて論じた興味深いものです。私も,類似する関心にもとづいて「消費者問題と債務免除益課税」という論文を以前書いたことがあったので*1,私の論文とも照らし合わせながら議論を組み立てました。

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 いずれ報告内容は税大ジャーナルに掲載していただけるかと思います。またその際には記事にしたいと思います。
 今回の研究会では,北海道大学の佐藤修二先生もご報告されました(私が「前座」でした)。佐藤先生がご報告されるので,多くのかつ錚々たる顔ぶれの先生方がご参加されていて,とても緊張しました。質疑応答でもたくさんの質問をいただき,大変勉強になりました。ご参加くださった先生方,誠にありがとうございました。また,佐藤先生,一緒の回で報告の機会を賜り,大変に光栄でした。税務大学校の皆さまも,開催にあたりご尽力くださり,誠にありがとうございました。
 人前で話すことには少しずつ慣れてきたのですが,それでも,今回は自分のこれまでの研究の集大成のような形の報告になったので*2,錚々たる先生方の前だったこともあり,とても緊張しました。ひとまずは研究会を乗り切ることができてホッとしています。今年度の研究活動はいったんこれで一区切りになるかと思うので,少し休んで,今回の報告の文字化に励みつつ,また来年度も研究を続けていけるように準備に勤しみたいと思います。

*1:もっとも,Raghavanの論文は消費者が負う債務全般について議論している一方,私は奨学金債務とクレジットカード債務と言う個別的な議論に終始しているので,検討の射程は異なります。Raghavan論文の方が視野を広く持って議論をしている,レベルの高い論文だと思います。

*2:内情を書くと,最初はRaghavanの論文をまとめて自分なりの態度を述べれば良いかと軽く考えていたのですが,いつの間にやら大変なことになってしまった,という感じでした。自分の至らなさを恥じるばかりです。

2023年度第2回アメリカ税法研究会

 先ほどまで,アメリカ税法研究会をオンライン(Zoom)にて開催していました。前回の開催時の記事として,下記参照。

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 今回の研究会では,私(藤間大順)が報告しました。内容については,また来週に別の研究会で報告予定の内容ですので,来週のブログ記事で書きたいと思います。債務免除益課税関連の議論をしました。
 色々と,私自身がこれまで議論してきた枠組をふくめて議論をしていただき,大変に勉強になりました。ご参加いただいた皆さま,ありがとうございました。

(2024年2月15日追記)
 「来週に別の研究会で報告予定」と書きましたが,下記のとおり,税務大学校の税務研究会で報告しました。

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加藤友佳先生講演会

 昨日,神奈川大学大学院法学研究科にて,明治大学の加藤友佳先生をお招きして,研究科の演習の授業の一環として講演会を実施しました*1

 講演のテーマは「ライフスタイルの多様化と租税法」でした。上記のポストのとおり,加藤先生はこの分野のトップランナーであり,お招きして講演会を実施することができて大変に光栄でした。
 実際の講演会も,加藤先生をお招きする以上当然のことだったかもしれませんが,議論が盛り上がるとても充実したものになったように思います。ライフスタイルが多様化していくなかで税制は個人にフォーカスを当てざるを得ないのだけれど,では家族の形成などについて全く無関心でいられるかというとそれも望ましいとは言い難くて,そのあたりをどのようにしっかりとした制度として構成していくのか,という点が問われているように思いました。自分の研究に資する示唆もたくさんいただきました。
 加藤先生,重ね重ね,素晴らしい講演を賜り,誠にありがとうございました。今後ともご指導ご鞭撻のほどをお願い申し上げます。

*1:なお,今回の講演会は,東京地方税理士会の研修にも認定していただきました。ご参加いただいた税理士の先生方,誠にありがとうございました。

租税法学会第52回総会のレポートを税研に書きました。

 1月20日に発行された税研233号に,昨年10月に行われた租税法学会第52回総会の学会レポートを執筆する機会をいただきました。

www.jtri.or.jp

 総会については,下記のとおりブログにも書きました。下記記事にいう「今後とある媒体でレポートを書く予定」が,今回のレポートです。

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 学会に通しで参加した際にはいつもブログ記事を書いてはいるのですが,今回は仕事としてレポートを書くということで,いつも以上に報告の内容に集中して参加することができました。また,レポートを書くなかでも色々と改めて報告の内容を復習することができ,とても貴重な機会でした。
 機会をいただいたことに,日税研をはじめとする税研に携わる方々に感謝申し上げます。学会に参加された先生方は学会を振り返る際の参考に,参加されなかった方も租税法学会の様子を知るために,ぜひご高覧を賜れますと幸いです。