What Do We Pay for Civilized Society?

税法を勉強している藤間大順のBlogです。業績として発表したものについて書いたり,気になったニュースについて書いたり。概ね1回/月の更新を目標としています。

「消費者問題と債務免除益課税」が公開されました。&来年度のこと。

 本日発行された青山法学論集61巻4号(三木義一教授・菊池純一教授・土橋正教授退職記念号)に,執筆した「消費者問題と債務免除益課税―貸与型奨学金およびクレジットカード債務の減免に関する課税問題を検討対象として―」が掲載されました。

 以前執筆した「貸与型奨学金と債務免除益課税」(青山ローフォーラム6巻2号(2018年)153頁)で論じた米国の貸与型奨学金の減免と債務免除益課税の問題についてその後のトランプ税制改革(TCJA)で行われた法改正をフォローしたほか,クレジットカード債務の減免と債務免除益課税の問題についての米国の裁判例を論じたうえで,2つの議論から日本法において得られる示唆を論じました。消費者問題と債務免除益課税がなぜ関わるのか,また,米国と比して日本であまり問題になっていないのはなぜか,という点も論じたりしています。
 ぜひご笑覧いただけますと幸いです。リポジトリ公開され次第,リンクを貼っておきます。

 今回発行された青山法学論集は,タイトルのとおり,昨年までの指導教員である三木義一先生の退職記念号でした。このような場に執筆の機会を賜り,とても光栄でした*1
 同号には,錚々たる先生方が論文等を寄せられています。税法の論文に限っても,同志社大学の占部裕典先生「特別土地保有税の課税停止と徴収猶予に係る法的紛争」を書かれているほか(99頁),青山学院大学の木山泰嗣先生「経済的成果をめぐる税法解釈のあり方」を書かれています(245頁)。また,少し変わった文献として,三木先生ご自身が,「税務訴訟とその背景」として,意見書を書かれるなど関わった税務訴訟の裏側について書かれています(467頁)。
 雑誌も,ぜひお手に取っていただけますと嬉しく存じます。

 今年度の研究活動は,これでひと段落となります。学会報告や判例研究など,夏休みにかなり頑張った一年でした。博士後期課程を出た後も講義をしながらある程度研究を遂行できたことは良かったと感じています。
 来年度(来月)からは,神奈川大学法学部に税法担当の助教として赴任することになりました(青山学院大学でも非常勤講師を続けます)。一気に責任が重くなりてんやわんやしております。コロナウイルス感染拡大の影響で授業開始が1ヶ月延びたのですが*2,しっかりとスタートダッシュを決められるよう,今から準備をしておきたいと存じます。
 今後とも藤間大順およびこのブログをよろしくお願いします。

(2020/6/28追記)
 青山学院大学のリポジトリにて「消費者問題と債務免除益課税」が公開されました。ご笑覧いただけますと幸いです。
www.agulin.aoyama.ac.jp

*1:個人的には,師匠の論じてきた領域とからめて書きたいと思っていたのですが,なかなかうまくいかず,結局自分の領域の中での論文を書くことになりました。もっとも,受けてきたご指導を形にして贈るという意味では,これで良かったのかもしれないとは思っています。またリベンジしたいです。

*2:こちらの神奈川大学ウェブサイト参照。