現在,修士論文の加筆修正版の後半の校正作業をしています*1。
修士論文で,私は債務免除益課税についての基礎的な考察およびそれに基づく事業再生税制における債務免除益非課税規定(所税44条の2)の適用要件の解釈を行いました。現在は,その基礎的な考察を基礎づけつつ,他の債務免除益課税の問題についても検討を行っています。
債務免除益課税といえば,一昨年の10月8日,恐らくこの分野について初めて判示した最高裁判決が出ました*2。
この事件は,人格なき社団から役員が得た債務免除益につき,①所得分類に加え,②事業再生税制(当時は旧所基通36-17)の適用の可否についても争われたものです。最高裁判決では,①所得分類については給与所得に該当するとした上で,②事業再生税制の適用の可否については下級審に差し戻す,という判断がされています(通達の適用の可否という言葉は用いていませんが,文言からそのように読めると思います)。
校正作業をしながら,そういえば当該事件の差戻控訴審判決は出たのかな,出ていたらこの論文で言及しなければまずいよな,と思ったので,裁判所の方に問い合わせてみました。
まず,最初の控訴審判決が出た広島高裁岡山支部に問い合わせたところ,広島高裁の本部の方で審議している旨の回答をいただきました。続いて,広島高裁に問い合わせたところ,本日(2018年2月7日)までに差戻控訴審判決は出ていない,とのことでした。
いずれの裁判所でも,どこの馬の骨かもわからない怪しい学生からの電話に非常に親切かつ丁寧に対応していただきました。ありがとうございました。
なお,私は差戻控訴審での事件番号は把握しておりませんので,「恐らくこの事件だと思いますが」という前提の上での回答でした。したがって,確かな情報ではありません。そもそもこのブログも個人が勝手に書いているものですし,伝聞情報ですし,信憑性のある(例えば学術論文で引用するソースになるような)情報ではないことにご注意いただければと思います。
ただ,私の備忘録および情報を共有する目的で,ここに記しておきます。
(2017/3/13追記)
差戻控訴審判決ですが,2/8に出ていたようです。判決が出る前日に何とも間の悪いブログを書いてしまい,申し訳ございません。また,上記情報は岡山大の小塚先生のFacebookへの投稿で知りました。小塚先生,ありがとうございます。
まだデータベース等には判決文は載っていないようですが,何らかの形で判決文を入手したいと思います。