What Do We Pay for Civilized Society?

税法を勉強している藤間大順のBlogです。業績として発表したものについて書いたり,気になったニュースについて書いたり。概ね1回/月の更新を目標としています。

『介入の技法』をご恵贈いただきました。

 日本学術振興会特別研究員(PD)の沈恬恬先生より,先日出版された『介入の技法 課税要件論再考』をご恵贈いただきました。

www.seibundoh.co.jp

 この書籍は,沈先生が京都大学大学院法学研究科に提出された博士学位論文を基礎として,加筆修正して出版されたものです。まだ詳しく読めてはいませんが,従来的な課税要件論が孕む「狂気」について,固定資産税をめぐる議論やAI課税をめぐる議論を通じてあえて抽象的な言葉遣いを用いながら叙述し,課税要件論のこれからの方向性を議論する著作…と今のところ理解していますが,少し的外れなまとめ方かもしれません。
 沈先生は,人文科学のバックグラウンドを持ちながら,税法学の研究もされている方です。私も文学部で哲学を学んだ後に税法学の世界に飛び込んだので,いつか哲学的な関心を研究に活かしたいと思いつつ,なかなかまだ活かせていない状況にあります*1。そんななかで,この本のように,税法学の領域において人文科学の手法を用いてしっかりと議論を打ち立てられたのは本当に素晴らしいことだと感じます。
 私もいつかこのような議論をしてみたい,と強く感じながら,わくわくしながら読んでいます。ご恵贈賜り,誠にありがとうございました。拝読して勉強したいと存じます。

*1:存在論的に構成されてきた税法学を認識論的に「コペルニクス的転回」させる,というような構想がぼんやりとありますが,まだ何も考えられていません。