What Do We Pay for Civilized Society?

税法を勉強している藤間大順のBlogです。業績として発表したものについて書いたり,気になったニュースについて書いたり。概ね1回/月の更新を目標としています。

最近の関心について

はじめに

 この記事は,来年度以降に向けた「棚卸し」のために,2024年3月時点で私が持っている関心を書き記しておくものです。
 記事の目的は,今後の研究方針をある程度整理しておきたいという個人的な事情がまずあります。将来的に「あの頃はこんなことに関心を持ってたなぁ」と振り返りたいという理由もあります。
 また,対外的には,現在私がどんな関心を持っているのか示しておくことで,依頼などをしやすくなるだろうか,という意図もあります。とはいえ,私自身まだまだ色々と不勉強ですし,下記の関心に添うものでなくとも,ご依頼いただけたら大変嬉しいです。

メインの関心

 私が今のところメインとしている関心は下記のものです。

債務免除益課税

 博士後期課程以来,継続的に取り組んでいるテーマです。主たる業績としては『債務免除益の課税理論』(勁草書房,2020年)があります。

 この書籍を書いて以降は,そこまで主体的に取り組んでいるわけではありません。ただ,新しい裁判例や論文が相次いで出ているので,継続的に取り組んでいます。詳しくはこちらのカテゴリーを参照。
 とはいえ,人的帰属の問題やそれに付随する三者間取引による債務免除益課税の問題,CFC税制における債務免除益の取扱いなど,残された課題はまだあります。また折を見てじっくりと取り組みたいとは思っています。

個人所得税と贈与

 就職前後から取り組み始めたテーマです。主たる業績としては下記のものがあります。

 2024年度から2027年度にかけて,このテーマで科学研究費(若手研究)を受領できることになったので,今後とも取り組んでいきたいと思っています。財産の取得に対する所得税の非課税と寄附金控除というこれまでの研究にくわえ,取得費の引継ぎや課税単位論あたりを議論していきます。
 債務免除益課税と合わせ,無償による利益移転と課税や,包括的所得概念の端っこの方におそらく興味があるのだろうと思います。

資金調達と所得課税

 上述のクラファンに関する議論から派生して取り組み始めたテーマです。主たる業績としては下記のものがあります。

 2023年度から2026年度にかけて,このテーマに関連して,こちらの科学研究費(基盤研究(C))の研究分担者に入れていただいています。債務免除益課税(負債による資金調達)と贈与(クラファンなどの新たな資金調達方法)を繋ぐ議論になりうると思っているので,今後とも頑張りたいです。

税務行政のデジタル化

 最近取り組み始めたテーマです。業績としては下記の論文があります。

 今まさにホットな議論なので,今後とも取り組んでいきます。実務家の先生方の前で,こちらのテーマで話す機会も多くいただいています。詳しくはこちらのカテゴリーを参照。
 2024年度の前半は,この議論をメインに取り組んでいくことになりそうです。上述の資金調達に関する研究テーマの一環として,デジタル化と税制という関心で取り組んでいます。

サブの関心

 今のところメインで取り組んでいるわけではないのですが,将来的にもっと頑張りたいと考えているテーマは色々とあります。いくらか挙げておきます。

消費税

 税理士試験で勉強していたこともあり,消費税法にはずっと関心を持っているのですが,なかなか取り組めていません。一応,下記の研究ノートは以前書きました。

 消費税の課税対象取引の要件についてしっかりと取り組みたいのですが,EU法の基礎的なところなど前提知識からまず勉強しなければならないと感じています。誰か教えてください。

租税徴収手続

 租税徴収手続については,下記のように第二次納税義務に関する裁判例について判例研究を書く機会をいただいたので,関心を持っています。

 訴訟も多いですし,徴収法についてはその現代化をふくめて根っこからの議論が必要なのかもしれないと思いつつ,まだ取り組めていません。

おわりに

 以上,最近の私の関心について書いてみました。特に今書いた理由はないのですが*1,私の最近の関心について知りたい奇特な方がいらしたら,この記事を参考にしていただけたら嬉しく思います。

*1:一番の理由は,電車に長く乗っていてかつ読みたいものが手元にないので少し時間ができた,ということです。