名城大学の伊川正樹先生より，先日出版された『譲渡所得課税に関する基礎的研究』をご恵贈いただきました。
この書籍は，伊川先生がこれまで公表されてきた譲渡所得課税に関する論稿をまとめられたものです。周知のとおり，伊川先生は譲渡所得課税に関して多くの論稿を公表されており，その集大成がこの本ということになろうかと思います。
譲渡所得課税については，いわゆる増加益清算課税説と譲渡益課税説の対立がしばしば論じられます。伊川先生は，この対立に向き合ったうえで，増加益清算課税説を判例通説として受け入れつつ，それが通用すべき場面を具体的な問題についても扱いながら描写しています。
伊川先生は，私の師匠である三木義一先生を通じてご縁があることから色々とご示唆をいただいており，個人的にもいつも大変お世話になっています。特に，博士後期課程在学中に進路が決まらないときには，相談に乗ってくださいました。現在では『よくわかる税法入門』の執筆でご一緒しているほか，アメリカ税法研究会でもご指導を賜っていることを光栄に感じています。また，主としてアメリカ法との比較法的検討を通じて日本法における理論を深めようとされる研究姿勢から，『債務免除益の課税理論』でまとめた債務免除益課税に関する私の研究は確実に影響を受けていると思います。そんな伊川先生のご研究の集大成となる書籍をいただき，大変光栄に感じています。ご恵贈いただき，改めてありがとうございました。
