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税法を勉強している藤間大順のBlogです。業績として発表したものについて書いたり,気になったニュースについて書いたり。概ね1回/月の更新を目標としています。

『課税所得計算調整制度の研究』をご恵贈いただきました。

 西南学院大学の倉見智亮先生より,成文堂より出版された『課税所得計算調整制度の研究』をご恵贈いただきました。

www.seibundoh.co.jp

 この書籍は,「稼得された経済的成果の喪失や課税所得計算の誤りなどにより納付すべき税額が減少することとなった場合における過年度ないし現年度に係る課税所得計算の調整のあり方について,米国法との比較法研究を試みるもの」(i頁)です。課税所得計算の調整の前提となる年度帰属に関する議論から様々な具体的局面における調整のあり方まで,議論が形成された歴史を丹念に追ったうえで,米国法に対する緻密な分析に基づく比較法的検討がされています。
 課税所得計算の調整の可否は,現年度での調整か過年度の遡及的な調整かによらず,近時,様々な判例や裁判例で論じられています。たとえば,この書籍でも論じられていますが,倉敷青果荷受組合事件や*1,クラヴィス事件*2が挙げられます。この書籍は,それらの問題を根底から位置づけなおして議論するものだと言えるのではないかと思います。

 倉見先生については,関西租税法若手研究会(現在は東アジア租税法研究会)で私が「債務免除益の年度帰属」について報告した際に,詳細なコメントをいただきました。その節は誠にありがとうございました。

taxfujima.hatenablog.com

 いただいた書籍もまだ読み切れてはいないのですが,春休みの間に少しずつ読み進めて勉強したいと思います。ありがとうございました。