先日，金子宏先生の『租税法』の第24版が出版されました。
当該書籍において，拙著『債務免除益の課税理論』が引用されていました（446頁，注41）。ありがとうございます。
金子先生の『租税法』は，「租税法のバイブル」ともいわれる，言わずと知れた名著です。1976年の出版以来半世紀近くの改訂を続け，巨大な体系を作り上げています。
私の研究生活は，常にこの本とともにありました。大学院から初めて税法を学び始めた私が何とか租税法の議論をフォローすることができたのは，もちろん母校の先生方の丁寧なご指導もあったのですが，網羅的かつ体系的に租税法のこれまでの研究成果を編んでくださっているこの本があったおかげです。また，修士課程で債務免除益課税を専門として選ぶ際も，この本で述べられている所得税法44条の2の解釈論（24版ですと199頁）について何か異論は唱えられないのか，という関心を軸に自分の考え方を構築することができ，その後の博士後期課程の研究も何とか遂行することができました。
個人的にも，書いたものをこの本に何とか引用していただけないか，ということを目標にしてきました。したがって，引用していただけたことをとても光栄に感じるとともに，研究を続けてきて本当に良かった，と感じています。
金子先生の単著としての改訂は，この24版を最後にしたいと考えている，とのことです（i頁参照）。ただし，今後とも金子先生を原著者としつつ，改訂を続けていきたいと考えられているとのことでした。
言うまでもないことですが，この本があったことで救われた人がたくさんいて，私はその1人だと思います。金子先生から直接ご指導を賜ったことはないのですが，ただ，この本やこれまでの金子先生の積み上げられてきたものを通じて，様々に示唆をいただいてきたように感じています。今後とも，この教科書を参照しながら勉強していきたいと思います。重ね重ね，拙著を引用してくださり，誠にありがとうございました。
