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税法を勉強している藤間大順のBlogです。業績として発表したものについて書いたり,気になったニュースについて書いたり。概ね1回/月の更新を目標としています。

『租税法入門[第3版]』をご恵贈いただきました。

 東京大学の増井良啓先生より,近日公刊される『租税法入門[第3版]』をご恵贈いただきました。

www.yuhikaku.co.jp

 この本は言わずと知れた名著だと思いますので,今さら私が紹介するまでもないと思います。ただ,私個人としては,第2版について下記のとおりに書いたとおり,院生時代に日ごろから接していた先生方以外の先生から初めていただいた書籍です。

taxfujima.hatenablog.com

 初版から何度も読んで勉強してきた本でしたが,第2版はもっと何度も読んで勉強しました。院生時代の後輩にも,今指導している院生にも,長期休暇に読んで考えを深めるよう勧めてきています。実際,指導している院生からは「夏休みにこの本を読んで考えが深まったように思う」と言ってもらいましたし,とても成長されたように感じています。
 また,私の博士後期課程の研究は,一言で言えば,増井先生が打ち立てた債務免除益の課税理論*1と何とか違うことを言えないか,という関心でずっとやってきたものです*2。研究すればするほど自分の無謀さを思い知りましたし,かつ,『租税法入門』を読むたびに「たとえ1点でもこの巨大な堤防を崩すのはとても無理だ」と絶望感を噛みしめてきました。今でも自分の考えをしっかりと構築できたとは思っていませんし,債務免除益課税とは研究者人生が続くかぎり付き合い続けていくつもりでいます。ただ,今回の第3版で「異なる見方について,参照,藤間大順『債務免除益の課税理論』[勁草書房,2020年]」*3と引用していただいて,無謀な関心でも,時間をかけてずっと向き合い続けたことには何か意味があったのかもしれない,と感じています。
 増井先生,第2版から続き,ご恵贈を賜り誠にありがとうございました。私のような可愛がる義理もない(むしろ不勉強によって良くわからない難癖をつけているに近い)馬の骨に目をかけてくださることに心より感謝を申し上げるとともに,今後とも玉著を読んで勉強して,研究に励みたいと思います。

*1:増井良啓「賭博債務の免除から所得は生ずるか」税研40・41号(1992年)17頁,増井良啓「債務免除益をめぐる所得税法上のいくつかの解釈問題(上)(下)」ジュリスト1315号(2006年)192頁,1317号(2006年)268頁参照。

*2:拙著『債務免除益の課税理論』(勁草書房,2020年)参照。

*3:増井良啓『租税法入門[第3版]』(有斐閣,2023年)123頁。