What Do We Pay for Civilized Society?

税法を勉強している藤間大順のBlogです。業績として発表したものについて書いたり,気になったニュースについて書いたり。概ね1回/月の更新を目標としています。

2022年度第1回アメリカ税法研究会

 一昨日(5/22),アメリカ税法研究会を開催しました。
 前回の開催時の記事として,下記参照。

taxfujima.hatenablog.com

 今回の研究会では,青山学院大学の道下知子先生が「アメリカEITCのノンコンプライアンスにおける法的問題点 ―最近の裁判例を検討素材として―」と題する報告を行いました。昨年の日本租税理論学会研究大会での報告を,原稿化を視野に入れてブラッシュアップされたものです。昨年の大会時の記事として,下記参照。

taxfujima.hatenablog.com

 道下先生は,博士課程在籍時より,いわゆる給付付き税額控除と呼ばれる制度についてアメリカのEITC(Earned Income Tax Credit)を検討対象としながら研究をされています。私から見ると,三木義一先生という指導教員を同じくする先輩であり,公私ともにお世話になっています。
 今回のご報告では,EITCが抱える問題点について,特に納税者が誤ってしまうという問題と家族のあり方により納税者が不利益を被ってしまう問題を取り上げて議論されていました。後者の問題については,税制と家族という近時盛んに議論される文脈の中で理解することができ*1,大変勉強になりました。EITC自体の制度趣旨を所得再分配の文脈で理解するのか,勤労の促進という文脈で理解するのか,という点にも議論が及びました。

 来月も,アメリカ税法研究会を実施予定でいます。特に参加資格は設けず,「アメリカの税法に興味があればぜひ」というくらいの緩い繋がりでやっておりますので,ご興味がおありの方がいらっしゃれば,ぜひご連絡を賜れますと幸いです。

*1:たとえば,加藤友佳『多様化する家族と租税法』(中央経済社,2021年)や,税研220号の特集記事,日税研論集81号(2022年)の各論文を参照。