What Do We Pay for Civilized Society?

税法を勉強している藤間大順のBlogです。業績として発表したものについて書いたり,気になったニュースについて書いたり。概ね1回/月の更新を目標としています。

名古屋青年税法ディベート大会審査員

 昨日(10/30),名城大学天白キャンパスで行われた,名城大学の伊川正樹先生のゼミと名古屋青年税理士連盟(名青税)の間のディベート大会(名古屋青年税法ディベート大会)の審査員をつとめました。
 こちらのディベート大会ですが,3年前,オンラインで開催した際に審査員をつとめました。その際の記事として下記参照。

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 今回のディベート大会では,2件のディベートが行われました。なお,今後,伊川ゼミは同じ事案で青山学院大学,香川大学および立命館大学とのディベート大会(四大戦)に臨まれるので,議論の詳細は省きます*1
 まず,第1試合は,分限免職処分にもとづき支給された退職手当につき,当該処分の違法性を争っている場合の年度帰属が議論された裁判例*2を素材として行われました。結果としては,名青税が勝利されていました。
 次に,第2試合は,アスベストの除去費用が雑損控除(所得税法72条)の対象になるかという点が議論された裁判例*3を素材として行われました。結果としては,審査員の間で意見は割れたのですが,2対1で伊川ゼミが勝利されていました。
 ディベートが2試合あった後,相続税の課税方式を遺産取得税に切り替えるべきか,という政策テーマについて,伊川ゼミと名青税との間で意見交換が行われました。

 先週の租税理論学会に続き,2週連続で名城大学にお邪魔しました。どちらも運営してくださった名城大学の皆さま,特に,伊川先生と,名城大学大学院法学研究科博士後期課程の石山皇太さん*4,様々にお骨折りくださり,誠にありがとうございました。今回については,お招きくださったことについてもお礼を申し上げます。

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 名城大学は,広々としたキャンパスで学生の皆さんがのびのびと勉学に励まれていて,もちろん神奈川大学の賑やかなキャンパスにも愛着はあるのですが,また違った素敵さがあるように感じました。また,新横浜と名古屋は思った以上に近く,案外気楽に行き来ができるな,とも感じました。またぜひ様々な機会でお邪魔したいと思っています。
 それと,今回は,色々と人に会うこともできました。
 まず,ディベート修了後,名青税の先生方の懇親会に混ぜていただきました。名青税さんには,博士後期課程を出て神奈川大学に拾ってもらう前のいわゆる「ポスドク」の時期に,下記のとおり研修にお招きいただきました。
 税理士の先生方向けの研修は初めてだったのでとても貴重な機会だったことはもちろんですが,それと同時に,就職先が決まらず不安かつ苦しい時期にお声がけいただいて,とても勇気づけていただいたように感じています。研修にご参加くださった先生も,新しくお会いする先生も,数多くお話しすることができました*5

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 また,今日帰ってきたのですが,帰る前に,南山大学の本部勝大先生と名古屋駅でお会いしてお話ししました。
 下記の記事にも書いたとおり,本部先生は専門とする細かい領域は違うとはいえ,博士課程の頃からずっと議論をしながらここまで来た方です。今回も色々と楽しい話をすることができて,研究上の示唆も色々とある,とても楽しい機会でした。ありがとうございました。

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 先週に引続き,出張自体がかなり久しぶりだったこともあってそこそこ疲れはしましたが,得るものも大きい,とても充実した2週連続の名古屋出張でした。いただいた示唆を活かして,今後とも研究に励みたいと思います。

*1:各ディベートの最初に「他大学に内容を漏らすな」という釘を刺す言葉もありました。青学の大学院出身かつこちらの際に香川大にディベートのレクチャーをした私は苦笑していました。立命館の望月先生安井先生にも『よくわかる税法入門』の改訂時など当然お世話になっているので,どの大学も頑張っていただきたいと思っています。

*2:東京地判平成29年1月13日税資267号順号12954

*3:大阪地判平成23年5月27日訟月58巻10号3539頁

*4:石山さんの最新の業績として,こちらの判例研究を参照。

*5:若干,「なぜ我々を負けさせたのですか」と詰められましたが,「来年リベンジしてください」と申し上げました。笑い話です。